11月23日は明治大学アカデミックフェスに行こう!
来る11月23日(祝),明治大学アカデミックフェス2017が明治大学駿河台キャンパスで開催されます!
アカデミックフェスって何ぞ? と思われるかもしれませんが,教員がやる文化祭みたいなもんだと思って下さい.大学での研究内容や産学連携プロジェクトの紹介,企業とのマッチングコーナーなど多彩なイベントが用意されています.
その中で,午後まるまるぶち抜き企画として,
という企画を開催することになりました.
第一分科会はLGBTと多様性!
(アカデミーコモン2F 13:00-14:30)
民主主義とは「多数派」のものではなく、異なる少数の意見をも含めた民意をいかに合意形成へと向けて行くのかという不断の努力です。昨今、性的少数者の人権について、さまざまな分野での問い直しが進められています。同性間のパートナーシップを公的に認めるというのもその一つです。この他、立法、メディア、社会運動などさまざまな現場において、多様なセクシュアリティやジェンダーの形と向き合うためことを求める声も育っています。人々の権利とは。社会の規範とは。豊富な事例をもとに討議します。
司会:荻上チキ登壇者:明智カイト(「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」代表)、増原裕子(株式会社トロワ・クルール代表取締役)、鈴木賢(本学法学部教授)
第二分科会は日本経済のこれから!
(アカデミーコモン2F 14:50-16:20)
長期的な人口減少過程にある日本経済では,人口オーナスの元で経済政策の運営を行わなければなりません。これからの日本経済にとって社会保障はどのような見直しが要されるのか、新技術は経済成長と所得分配にどのような影響をもたらすのか、そして人口減少下の日本経済にとっての希望とは何か。リーディングエコノミストによる発表と討論を通じて考えます。(※プレスクローズ企画のため本セッションの取材はご遠慮下さい)
司会:飯田泰之
登壇者:片岡剛士(日本銀行政策審議委員)、井上智洋(駒澤大学経済学部准教授)、加藤久和(本学政治経済学部教授)
第三分科会は日本におけるリベラルを再考する
「日本にリベラルを導入するために」
(アカデミーコモン2F 16:40-18:10)
保守・右傾化が進む日本の政治社会にあって、はたして今後リベラルに存在する余地はあるのだろうか?ヨーロッパ19世紀以来の「リベラリズム」の概念史をたどりつつ、「革新」や「進歩派」といった日本的な左派との差異を論じながら、格差や不公正を解消し、自由で多様な生を生きることを目指す、単なる「反権力」ではないリベラルの可能性について議論します。
司会:芹沢一也
登壇者:北田暁大(東京大学大学院情報学環教授),高史明(東京大学大学院情報学環特任講師),高山祐二(本学政治経済学部准教授)
シノドス企画以外にも盛りだくさんの一日になりそう! 私はフェス全体のコーディネータも兼ねているので,当日は会場周囲を飛び回っているかと思いますが,ふとすれ違ったら,声をかけてやってください♪
1022衆議院議員総選挙の重要性
公示日翌日の水曜日(11日),立て続けにラジオで選挙のお話をさせていただきました.
・ザ・ボイス そこまで言うか! | 毎週月~木曜日16:00~ | ラジオFM93+AM1242 ニッポン放送
・TIME LINE-今日のニュースと考えるヒント - TOKYO FM 80.0MHz
番組内でもお話ししましたが,今回の総選挙は(当初予想に反して)非常に大きな意味をもつ選挙になってきたと,私は,考えています.日本における選挙とは何か,もっと大上段に振りかぶると日本における民主主義とは何か……その方向を決める選挙とさえ感じる.
何がそんなに重要だって……今回の選挙は,
- 「何をやるのかわからないが,現状には不安・不満だから何もわからないけど新党に期待したい」という投票行動があり,それを狙っての新党設立・政党再編が続くというここ二五年来*1の日本の政治を不安定化させてきた動向に終止符を打つチャンス
- 政治を不安定化させ実効性ある政策の実現を妨げてき政党・政治家にフレッシュさ,素人感覚を求める風潮--は今や大した集票力はもたないんだと知らしめる大きな機会
になり得るんですよ.確かに,序盤情勢を見ると今回の選挙ではいわゆる「新党ブーム」のような風は吹いていません.しかし,これから先,与党の求心力が低下したときにまたこのような風潮が復活するかもしれない.
日本の政治を,ひいては安定的な政策の遂行を取り戻すために,看板だけの新党によって実績のない候補者*2も当選するなんてことはもうないんだ.政党名の看板を掛けかえただけで得票が大きく変わることなんてもうないんだ……と皆が実感するような選挙結果が必要です.
だからこそ,
- 政策を掲げそれを実現に導いた,鋭く与党の問題を指摘した--いずれかの実績がある人や党
- 支部長として,または地方議員として地域の実情を党や政府に伝える役割をしっかりと担ってきた人
- 実務家として将来このような活動が強く期待できる人
だけに投票しよう……と,周りの人を説得してください.特に周りの政治に興味のない方,なにより親族を一人でよいので実績のある人,中身のある政党に投票させる努力をしましょう.
(本人の実績とは関係なく)政策の中身も決まってない,誰を首班指名するかも決まってない党の名前で議席を得る人が何人出るのか--その数が少なければ少ないほど,彼らの得票率が低ければ低いほど日本の政治の正常化が進むでしょう.
今回の選挙は与野党間の議席配分以上に重要な論点のある総選挙です.希望の党には個人的な知人も多いので心苦しくはありますが,ここ二週間のような政治的謀略・策動に乗っても意味がないのだということが明確に示されることを期待*3します.
10月24日に明治大学リバティアカデミーに登壇します
ある日大学に行ったら,自分の顔写真が貼ってあって恥ずかしいやら畏れ多いやら.まだ結構先なので,すっかり忘れてました……というより,もしや今日なのか!?と焦りまくり.
経済学っぽい思考の技術
~ビジネスと生活に活かすための経済学
経済学と聞くと、日本経済の構造を解明したり、国際経済の未来を語る学問と思われるかもしれません。いや、むしろやたらと複雑な数式を使って当たりもしない経済予想をする学問というイメージの方が強いという方も少なくない?しかし、経済学のホントウの魅力はその思考法、思考の型にあります。経済学が実践してきた「思考の型」はむしろ現実のビジネスと日常生活に応用できるものばかり。一見難解に感じる「主観価値」「合理性」から統計データの活用法まで。経済学っぽい思考法を学ぶことで、みなさんの思考のブラッシュアップのお手伝いをしたいと思います。
◆お申し込みはこちらまで→「経済学っぽい思考の技術」 | 飯田 泰之 | 明治大学リバティアカデミー
今回は目先の経済政策や規制改革推進会議での議論を離れて,思考方法としての経済学について語ってみたいと思います.タイムリーな話題も楽しいけれど,たまにはこういう話もしたい(というか個人的には僕はこの方が向いていると思ってる^^)です.
これまで書いてきた本で言うと・・・
思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント (朝日新書)
- 作者: 飯田泰之
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/12/13
- メディア: 新書
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みたいなお話を簡潔に伝えたいと思います.
興味のある方はぜひ!
公的需要の対GDP比
「アベノミクスは金融政策と財政政策というカンフル剤で」云々という言及をいまだに見かけるけど,少なくとも財政はたいして出してない.2014年に対GDP比での公的需要(政府による消費と投資)をほんの少しだけ出した後,むしろ引き締め気味といっていいくらい.
金融政策のサポートがあるときに,分野や手法を考えて支出すれば*1財政効くんだけどなぁ*2.そして,財政が聞く状況で財政を「締める」とこれはかなり景気の足を引っ張ることになる.
この財政状況下で財政を大盤振る舞いで出せとは言わないけど,対GDP比で減らさないくらいの運営は必要なんじゃないかしら.
*1:人手不足がボトルネックにならない分野への支出や,長期計画を立てたうえでの支出など.
*2:Miyamoto他(2016)だと,ゼロ金利下では日本の財政乗数は1.5と推計されている(それ以外だと0.6)→https://drive.google.com/file/d/0B4s2Uu2peCBVMVd3cFh4a3VnTkU/view
本日発売!ちくま新書『経済学講義』
ちくま新書の『経済学講義』本日発売です.教養課程での「経済学入門(半期2単位)」などにちょうどいいレベル感を意識して書きましたので,本ブログに着目していただいている方には食い足りない内容かもしれませんが,たまには復習もいいもんですよ♪ 21世紀の『経済学を学ぶ (ちくま新書)』を目指してみました.
以下,同書「はじめに」の部分をちょっと出し*1.
◆はじめに
本書は「経済学という学問分野」のガイドブックです。
経済と無縁の生活を送ることは不可能です。日常生活からビジネス、さらには政策の理解まで経済が関係しない分野はないといっても過言ではないかもしれません。この経済について体系的な解釈の方法を提供するのが経済学の仕事です。だからこそ、「経済学入門」をうたう書籍に一定の需要が存在しつづけているわけです。
(『初めての株式投資』とか『年金問題がわかる本』のような)個別の話題の解説書とは異なり、「経済学」の入門書はどうも「わかった感」「役に立った感」が乏しいというのが正直な感想ではないでしょうか。経済学というツールは経済に関するあらゆる問題に応用することができます。しかし、「何にでも応用できる」という性質ゆえに、初学者は「何に使えるのかわからない」という感覚に陥ってしまいがちです。
経済学の基礎を習得することは、今後の思考にとって大きな武器となります。個別の経済問題に関する(まともな)解説書に書かれていることは、各テーマに関する「経済学を用いた解釈」です。すると、経済学を理解しているなら各種解説書を読み、情報を収集するのは大幅に楽になるでしょう。それこそ、読まないでも内容がわかるという本さえも少なくないかもしれません。
「経済学」は学んでおいて損のない学問です。しかし、体系・システムとして経済学を理解するためにはそれなりの準備運動が必要です。意気込んでミクロ経済学、マクロ経済学の入門書を買ってはみたものの途中で投げ出してしまったという経験をすでにお持ちの方もあるかもしれません。体系・システムを学ぶにあたっては、本格的な学習の前に全体イメージを把握しておく必要があります。経済学を学ぶにあたっては、入門の前に「イメージをつかむ」という経験があったほうが、その後の学習がスムーズなのです。
本書では、ミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学という経済学の基盤となる分野について、大学の学部で学ぶ内容を「ざっくり」と紹介していきます。テーマ・話題を広くとることで「経済学部で学ぶこと」のイメージを描くように説明を進むているため、多くの入門書で詳しく説明している部分をあえて飛ばしていたり、通常は入門書では取り扱わない話題も登場します。
入門書で広範な範囲をカバーしようとすると、ともすると「用語集」のような記述になってしまいがちです。用語集型の入門書の問題点は、さまざまな理論の「名前」やその考案者の「名前」はわかったものの、それが何の役に立つのかわからないというところにあります。そこで本書では「○○を証明する(または説明する)ためにこの理論モデルが必要になった」という目的論的な説明を心がけました。目的論的な議論の展開は多くの研究者が嫌うところですが、全体像をつかむための方便としては効率的であるというのが教師としての私の判断です。
実際に経済学を使うようになる人――政治家や官僚(そして経済学者)になるという人以外にとって、経済学を学ぶ最大の意義は「経済学っぽい思考法」を自分の「思考のツール」として身につけることにあります。経済学的な思考にとって欠かせないのがデータとの対話、そしてデータによる検証です。そこで、類書では割愛されることの多い計量経済学に多くのページを割いています。
経済理論が何のために必要かを意識し、経済学的な思考をトレースすることで、経済学の全体イメージをつかむ。これは大学の新入生のみならず、これから経済学を学んでみようと思い立ったすべての初学者にとって有用な経験となりえると思います。そして、経済学の全体イメージは、より高度な経済学のテキストを読む際の基礎体力になり、より自分の興味関心に絞り込まれた書籍を理解するための導きの糸となってくれるでしょう。
経済学部の新入生、経済学部を志す高校生、そして経済学に初めて触れる全ての人にとって、手軽に読めて、なんとなく経済学の魅力を伝えられる本。そんな存在を目指して本書は企画されています。
経済学ガイドブックで経済学の世界をなんとなく眺めてみましょう!
*1:校正前の草稿をコピペしているので書籍版とはちょっと違うところもあるかもしれませんmm