もう直前ですが。。。自動運転社会総合研究所
なんだか明治大学の広報課のようなエントリが多くてゴメンよ
明治大学では,4月より文理融合研究拠点として「自動運転社会総合研究所」を設立することとなりました.画像認識等の技術面とその実装に関する法制度の整備を研究し,なかでも人口希薄地域や農地・林地での自動運転技術の普及をスムーズに進めることを目指しています.
これまでの活動は,NHK(↓)はじめ新聞各紙などでも取り上げられてきましたが,その実証実験の場として自治体と連携することで,より実践的な試みにしていく予定とのことです.
飯田関係ないじゃん!と思われるかもしれませんが,同研究所の設立に際して事務的な手続きを担当したため,ちゃっかり研究メンバーの末席にも加わっております.
本件に関連しまして,4/28(水)11:00より,設立に関する記者会見が行われます.メディア関連にお勤めの方でご興味ありましたら,下記フォーム(といっても画像なので使いづらくて恐縮です。。。広報まで電話・メールいただければすぐに対応いたします)を参考に,ちょっとやって下さいmm
挨拶と設立趣意書の報告にとどまらず,コアとなる研究メンバーからの研究方針の発表が計画されており,記者会見なのに一時間弱+囲み取材・・・と今後自動運転に関する取材先・コメンテーターを捜していらっしゃる方にも有用な情報提供になるのではないでしょうか?
『陰謀の日本中世史』(呉座勇一,角川新書)
真田モノ(【おまけ2】参照)を立て続けに読んでいたら,歴史は全部陰謀で動いてるような気分になってきたので解毒剤を。。。と思っていたら,そのものズバリの,しかも大ベストセラー学者の呉座先生の本が出てました.
前著『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱』 (中公新書)とは異なり,非常に読みやすい本です.歴史に関する陰謀論といえば,本能寺と関ヶ原が中心かと思いきや,保元・平治の乱から北条家の得宗体制成立,そして観応の擾乱と応仁の乱まで……かくも長い時代を取り扱いつつ,
・各論点の簡単なおさらいと教科書的な解釈
・陰謀論/ちょっと陰謀論っぽい仮説/比較的合意を得ている仮説を整理して紹介
するという構成になっているので,ちょっと日本史忘れつつあるという人でも楽しめる内容で,氏の書き手としての能力の高さが伺われますね.
このような詳細で簡潔な整理を可能にしているのは,同書が個別の陰謀論を批判することを目的にしているのではなく,終章の「陰謀論はなぜ人気があるのか?*1」に書かれた原理原則を軸にして事象を整理しているからだろう.手っ取り早く情報収集をしたければ,終章を読んでから第一章に戻ると理解が早いと思われる.
陰謀論によくみられるいくつかの「型」は,歴史ものに限定せず,あぁこういう風に考えがちだよねと思われるものが多い.例えば「事件で一番得をした人間を黒幕だと考える」とか「被害者が本当は加害者だったのだとして説を組み立てる」とかね*2.冒頭に書いてある通り,筆者の陰謀論愛も感じられて,陰謀だけど,さわやかさもある読後感の一冊.
【おまけ1】
本書の四・五章は,もう一つの読み方として……『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱』 (中公新書)や『観応の擾乱』(中公新書)を読む前の予習用に好適.この二冊読みながら,「あれ?その人だれだ?」と時々読むのが止まってしまった僕としては・・・『陰謀』を先に読んでおきたかったなぁ。。。 大ベストセラー二冊を読みこなせなかったという人は,『陰謀』読んでからだとかなり理解しやすくなるので,リトライしてみては?
観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)
- 作者: 亀田俊和
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2017/07/19
- メディア: 新書
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【おまけ2】
幡大介の真田合戦記シリーズ.武田義信が粛清されたあたりで止まってしまっている(1年ほど新刊が出ていない)ので大変残念。。。真田幸隆(幸綱)にすごい巻数を割いた意欲作♪ 幡大介氏好きな書き手なので,氏そのものについてまとまった素人感想を書きたいな.
*1:そういえば,過日『Science』に出たhttp://science.sciencemag.org/content/359/6380/1146.fullの話に通じるかもしれない.
*2:本書ではこれらをミステリにありがちな手法と書いてますが,社会派じゃないいわゆるミステリ好きとしては,ありがちなミスリーディングネタと感じてしまいます(笑
「対話が誘う文理融合の世界」シンポジウムのお誘い
明治大学でのイベントお誘いです
「Math Everywher数理科学する明治大学」公開シンポジウム
「対話が誘う分離融合の世界」
http://www.meiji.ac.jp/koho/math-everywhere/symposium2018
2018年3月17日13:30-18:00
入場無料
豪華登壇者による,数理科学と社会のかかわりに関する議論の場になる予定です.イメージとしては,先端的な数理科学の研究紹介をして,そのあとに僕のような人文・社会科学系の教員が混じって,その社会的意義について対談する~みたいな流れ.
私は,第四部錯視のところで登壇です.視覚の不思議とそれをもちいたアーキテクチャー型の権力,そしてパターナリステックリバタリアンのお話などをしたいと思います.
内容もさることながら,このシンポジウム……お土産が豪華です(笑)
・立体錯視小型模型
・2018年度版月の満ち欠けカレンダー
がもれなく*1もらえます.
立体錯視ってなんじゃ?と思われたかもしれませんが,こういうの↓
手前にある明治大学のロゴが,鏡の中ではなぜか二つのハートマークに.んで,動画を見ていくと……なんか頭がぐにゃっとなりそうな立体錯視の小さな模型の実物をもらえる.自分で遊べるし分解もできる!
お得なシンポジウムですので,土曜の午後の暇つぶしにもうってつけですよ♪
*1:一応先着1000名までですが……そもそもキャパが約1000人の会場なので
11月23日は明治大学アカデミックフェスに行こう!
来る11月23日(祝),明治大学アカデミックフェス2017が明治大学駿河台キャンパスで開催されます!
アカデミックフェスって何ぞ? と思われるかもしれませんが,教員がやる文化祭みたいなもんだと思って下さい.大学での研究内容や産学連携プロジェクトの紹介,企業とのマッチングコーナーなど多彩なイベントが用意されています.
その中で,午後まるまるぶち抜き企画として,
という企画を開催することになりました.
第一分科会はLGBTと多様性!
(アカデミーコモン2F 13:00-14:30)
民主主義とは「多数派」のものではなく、異なる少数の意見をも含めた民意をいかに合意形成へと向けて行くのかという不断の努力です。昨今、性的少数者の人権について、さまざまな分野での問い直しが進められています。同性間のパートナーシップを公的に認めるというのもその一つです。この他、立法、メディア、社会運動などさまざまな現場において、多様なセクシュアリティやジェンダーの形と向き合うためことを求める声も育っています。人々の権利とは。社会の規範とは。豊富な事例をもとに討議します。
司会:荻上チキ登壇者:明智カイト(「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」代表)、増原裕子(株式会社トロワ・クルール代表取締役)、鈴木賢(本学法学部教授)
第二分科会は日本経済のこれから!
(アカデミーコモン2F 14:50-16:20)
長期的な人口減少過程にある日本経済では,人口オーナスの元で経済政策の運営を行わなければなりません。これからの日本経済にとって社会保障はどのような見直しが要されるのか、新技術は経済成長と所得分配にどのような影響をもたらすのか、そして人口減少下の日本経済にとっての希望とは何か。リーディングエコノミストによる発表と討論を通じて考えます。(※プレスクローズ企画のため本セッションの取材はご遠慮下さい)
司会:飯田泰之
登壇者:片岡剛士(日本銀行政策審議委員)、井上智洋(駒澤大学経済学部准教授)、加藤久和(本学政治経済学部教授)
第三分科会は日本におけるリベラルを再考する
「日本にリベラルを導入するために」
(アカデミーコモン2F 16:40-18:10)
保守・右傾化が進む日本の政治社会にあって、はたして今後リベラルに存在する余地はあるのだろうか?ヨーロッパ19世紀以来の「リベラリズム」の概念史をたどりつつ、「革新」や「進歩派」といった日本的な左派との差異を論じながら、格差や不公正を解消し、自由で多様な生を生きることを目指す、単なる「反権力」ではないリベラルの可能性について議論します。
司会:芹沢一也
登壇者:北田暁大(東京大学大学院情報学環教授),高史明(東京大学大学院情報学環特任講師),高山祐二(本学政治経済学部准教授)
シノドス企画以外にも盛りだくさんの一日になりそう! 私はフェス全体のコーディネータも兼ねているので,当日は会場周囲を飛び回っているかと思いますが,ふとすれ違ったら,声をかけてやってください♪
1022衆議院議員総選挙の重要性
公示日翌日の水曜日(11日),立て続けにラジオで選挙のお話をさせていただきました.
・ザ・ボイス そこまで言うか! | 毎週月~木曜日16:00~ | ラジオFM93+AM1242 ニッポン放送
・TIME LINE-今日のニュースと考えるヒント - TOKYO FM 80.0MHz
番組内でもお話ししましたが,今回の総選挙は(当初予想に反して)非常に大きな意味をもつ選挙になってきたと,私は,考えています.日本における選挙とは何か,もっと大上段に振りかぶると日本における民主主義とは何か……その方向を決める選挙とさえ感じる.
何がそんなに重要だって……今回の選挙は,
- 「何をやるのかわからないが,現状には不安・不満だから何もわからないけど新党に期待したい」という投票行動があり,それを狙っての新党設立・政党再編が続くというここ二五年来*1の日本の政治を不安定化させてきた動向に終止符を打つチャンス
- 政治を不安定化させ実効性ある政策の実現を妨げてき政党・政治家にフレッシュさ,素人感覚を求める風潮--は今や大した集票力はもたないんだと知らしめる大きな機会
になり得るんですよ.確かに,序盤情勢を見ると今回の選挙ではいわゆる「新党ブーム」のような風は吹いていません.しかし,これから先,与党の求心力が低下したときにまたこのような風潮が復活するかもしれない.
日本の政治を,ひいては安定的な政策の遂行を取り戻すために,看板だけの新党によって実績のない候補者*2も当選するなんてことはもうないんだ.政党名の看板を掛けかえただけで得票が大きく変わることなんてもうないんだ……と皆が実感するような選挙結果が必要です.
だからこそ,
- 政策を掲げそれを実現に導いた,鋭く与党の問題を指摘した--いずれかの実績がある人や党
- 支部長として,または地方議員として地域の実情を党や政府に伝える役割をしっかりと担ってきた人
- 実務家として将来このような活動が強く期待できる人
だけに投票しよう……と,周りの人を説得してください.特に周りの政治に興味のない方,なにより親族を一人でよいので実績のある人,中身のある政党に投票させる努力をしましょう.
(本人の実績とは関係なく)政策の中身も決まってない,誰を首班指名するかも決まってない党の名前で議席を得る人が何人出るのか--その数が少なければ少ないほど,彼らの得票率が低ければ低いほど日本の政治の正常化が進むでしょう.
今回の選挙は与野党間の議席配分以上に重要な論点のある総選挙です.希望の党には個人的な知人も多いので心苦しくはありますが,ここ二週間のような政治的謀略・策動に乗っても意味がないのだということが明確に示されることを期待*3します.