祝♪P.R.クルーグマン!経済学賞受賞!

 さて,本年度のアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞ですが……皆さんご存じの通り,P.R.クルーグマンが受賞しました.しかも単独.受賞理由は貿易構造と立地の理論への貢献.大方の予想ではクルーグマンはいずれ取るだろうがもう少し先.そしておそらくは共同受賞と思われていただけに意外や意外.
 クルーグマンといえば日本経済への積極的な政策提言で有名ですが,一部報道では早速

とかなんとかいいつつ,てんでピントがはずれたことを書いています.明朝になれば全国の主要紙の大半が同様のイミフな「クルーグマンの日本への提言」を書き連ねることでしょう.エッセイストとして知られる氏ですから引用元はいくらでもある.上手に切り取って引用すれば資本主義批判にでも,構造改革賛美/批判どちらにでも,はたまた金融政策無効論にすら読める記事を作ることが出来ると思います.
 そんな記事やカキコを見かけたら,是非是非是非!

の3本を読むように意見しましょう!!


 それはさておき,本blogの読者なら僕が氏の受賞を喜ぶ理由は想像がついていると思います.しかし,実は最大の「嬉しいポイント」は氏がリフレ論の最重要論文の執筆者だからではありません(いや十分嬉しいですが^^).

  • 反経済学への徹底した批判を行ってきた
  • 資本主義の重要性を明確に評価していて
  • でもリベラル派

ノーベル賞を受賞したことが最大の喜びです.
 リベラル派の経済学者はともすると反経済学・反資本主義へと流されてしまいがちです*1.これは経済学界にとってのその人自身の人的損失にとどまらず,経済学そのものへの不信感を育てる元凶になってきた.でも,クルーグマンならかつてあそこまで罵詈雑言を浴びせ続けた方向へ流されると言うことはないでしょう.
 日本で,しかも凡百の経済学者が「リベラルの主張が経済学的にも根拠がある」という主張をするのにはかなり勇気が要ります.左からは「そんなのリベラルじゃないやい!この新古典派め!」とののしられ,右からは「介入主義者チネ」と嗤われます.そんななかで(あまりにも雲の上の人ではありますが)それを粛々と実行し続け,評価され続けている人がいるというのはなんだか嬉しいのです.

*1:ほらノーベル賞受賞者の人とか,我が国では口ひげの人とかあごひげの人とか……