ソフィアシンポジウム

今日は上智大学で開催されたシンポジウム"Keynesian Legacy and Modern Economics: A Dialogue between History of Economic Thought and Economic Theory"に行ってきました.しかもspecial sessionでの小野善康先生の討論者.僕は学部生の頃からの小野モデルフリークなので,小野モデルの最新バージョン(開放経済での貿易政策のマクロ経済への効果のnew version)をいち早く読むことが出来たのは嬉しかったけど……英語が下手なので原稿つくっていきました(泣).最後のplenary sessionは手を挙げたんですが,指されなかったのが残念orz


小野モデルの利点は①定常状態での失業状態が導かれるところ,②価格伸縮性が経済状態を悪化させることです.これは通常のNew Keynesianには無い性質です.①には議論があるでしょうが,②はかなり直観的にも支持できる.しかし,New Keynesianでは価格硬直性から一時的な失業が導かれるだけ……ではありますが,一時的って言ってもそれは概念的な「一時的」ですから,数年に渡って「一時的な」失業ということもあり得るんですよね.価格伸縮性についても,FischerなりBernanke and Gertler流のDebt Deflationを考えると,財・労働市場での伸縮価格→資産価格低下(負債一定)→経済悪化みたいな経路をもあり得わけです.その意味で,New Keynesian的な考え方を否定するものではないと思う.ついでに,僕自身はバブルと90年代的流動性の罠は同根だと思っていまして……でもstock需要が何に向かうかで実体経済の動向は正反対になるという点でBSの話は90年代を考える中心課題なんではないかと思うんですよね.