『「小さな政府」を問いなおす』(岩田規久男・ちくま新書)

 献本いただきました(多謝)

「小さな政府」を問いなおす (ちくま新書)

「小さな政府」を問いなおす (ちくま新書)


 三輪芳朗先生みたいな話に興味はあるけど,文章が難しい,授業で怖すぎるwなどの理由でどうも喰わず嫌いになっている人,増田悦佐氏の話は面白かったけどもう少し理論的なものも読みたいという人……必ず満足できます.「市場」と聞いただけで虫酸が走ってしまう人,歴史・現実の話じゃないと受け入れられない人……とりあえず餅ついてこれを嫁.

 政治思想とは切り離した形での経済的な意味での自由主義について標準的なミクロ経済学と戦後のイギリス・スウェーデン・日本の経験をおいながら解説が加えられていきます.書店で見かけたら,とりあえず第二章「戦後日本の社会主義革命」,第六章「スウェーデン福祉国家の持続可能性」をパラ読みしてみてください.きっと買いたくなりますから.

 ひとつだけ不満を挙げるとすると,タイトルと内容紹介があたかも「小さな政府批判」のように感じられてしまうところ*1.本書は「小さな政府の効能」と「上手な小さな政府をどのように作っていくか」に関する本です.


 経済学・歴史・思想全部が理路整然としかもわかりやすくまとめられ,小泉改革への客観的評価が行われる……僕もいつの日にかこういう本を書けるようになりたい.

*1:……もしかしたら意図的に「"小さな政府批判"を好みそうな読者に読んで欲しい」という意図があるのかもしれませんが