佐藤拓『1万円の世界地図−図解日本の格差・世界の格差』(祥伝社新書)

 出先のごく普通の書店で見つけて電車の中のひまつびしに……とおもって買った本が当たりだとなんだか嬉しい♪ そんな本に最近続けて当たっている.そんななかの一冊.


1万円の世界地図 (祥伝社新書)

1万円の世界地図 (祥伝社新書)


 拙著『ダメな議論』のなかではチェックポイントの一つに「単純なデータによって簡単に否定できる話はダメ」を挙げました.そして,普段からなんとなくデータを眺めていればよりかんたんに「うさんくさい話」を避けて通ることが出来ます.
 本書は,見開きで経済データのグラフに最低限の解説がついたものが淡々と続きます.このてのデータ解説だと,経済学者はついつい統計用語や指数作成の技術的なお話しをしてしまいますが,本書は筆者の短評をそえるかんじ.これが本書を読みやすく,お手軽なモノにしていると思われます.短評の中には「うーんそれは違うだろ」って部分が無きにしもですが,この紙幅でそこまで求めるのは酷かと.あまり経済統計に詳しくないという人はぜひぜひ手元に置きたいデータブック.
 余談ですが,本書の前半では内外価格差・国際競争力・政府の規模などが主要な話題になっています.『ダメな議論』でもとりあげた話題なので「やっぱりみんな"ここに注意!"って思うよなぁ」と感心.このへんはトンデモさんの温床なだけに基本データは身につけておきたいですね.


P.S.
本文に書き忘れましたが,この本はちょっとタイトルをひねりすぎて意味不明になっちゃっている気がする.あと,コメント欄にあるとおり,表示される題名も著者もぜんぜん表題の本じゃないんですが,これはamazonのミスです.