ロジカルシンキングと反ロジカルシンキング

 「ダメな議論」の見分け方として,拙著『ダメな議論』では5つのチェックポイントを上げました.ネット界隈の書評を読む限り,それなりに評価いただいけているようで嬉しい限りです.
 ただ,多くの評者が同時に書いているのが……「むつかしすぎるよ!」という批判です.自分で読み返しても,思い当たる節が多々.
 もうひとつはチェックポイントがMECEになっていないという批判です.これは自分で書いていてもそう思った.もっとシャープに出来たなぁと思うと悔しい限り.
 でも優しく書くと『論理で人をだます法』と差別化はかれなくなるし,社会学的分析部分をけずると量が半分になっちゃって本に出来ない.MECEにこだわると細かい分類が増えて読み物としての使い勝手が低下しそう.なんとか工夫して,改訂版or入門編的なものを書こうかとおもっていたら,


詭弁対策ツールver.1.0


を発見♪5つのチェックポイントのうち4つをカバー(データの話はしていない)した上に,日常の論争についてより充実したツールを仕込んでくれます.これでも難しいならもう議論とかに興味をもつこと自体が時間の無駄だからやめた方がいい水準だと思う.
 こういうのがタダで転がってるんだから,やっぱり世の中はweb2.0ですね(笑)


 一方,拙著のような論理的な思考自体が役に立たないという主張も盛んです.そのものずばりのタイトルのものが,

論より詭弁 反論理的思考のすすめ (光文社新書)

論より詭弁 反論理的思考のすすめ (光文社新書)

です.詭弁の効能を効率的にまとめています.僕の本とは逆に哲学・文学的な話題が多く難解な部分もありましたが,論理学とレトリック論を駆使して詭弁の使い方を説くというのは面白い方針です.
 で,この本をほめると多くの人は「論なの?詭弁なの?どっちなのよ?」という疑問を持たれるかと思います.これに対する答えは,

  • 論理的思考力がないと詭弁は使えない

というものになるでしょう.詳細は4月末から某所で始まる連載で説明していきたいと思います.