『週刊ダイヤモンド』5月31日号と『論座』7月号

 毎度同じコーナーに食いついてすんませんが……今回もData Focusについて.

  • 「CO2排出削減には欠かせない,技術開発が利益をもたらす仕組み」(小林慶一郎)

 二酸化炭素排出量削減には,削減技術の開発が利益を生むようなインセンティブスキームを作る必要があるという話.全く正しい指摘です.批判することが多いけど,やっぱりこのコーナー好きだわ.
 ただ,ここまで書いておきながら,なぜ環境税・炭素税への言及を(賛否どちらにつくにせよ)思いとどまるのかがわかんない.やはり官庁の研究所のプロパーにはある程度省や政治からの縛りがあるんでしょうか.炭素税の有効性と問題点は環境対策における最重要課題でしょう.
 そろそろ発売の『論座』7月号の連載では,ガソリン税道路特定財源問題について「正しいかどうかはさておき,全然的外れとは言えない見解」のひとつとして,ガソリン税環境税効果に言及しています.(ドライバーのみが負担する差別的な課税を)一般財源化するなら,そのためにはなんらかの理屈が必要.そして,ガソリン税を出発点として課税ベースを広げ環境税制を作るというのは悪い方向性ではないと思います(しかもみんな大好きな増税と環境問題です!).


 とか考えていたら(もしかして定期購読者かなんかでいち早く『論座』を読んだのでしょうか),別エントリのコメントで

温暖化への対抗手段として、現在のライフスタイルの変更を採用することにかなり批判な見解を展開します。というか、罵倒します。すなわち、


1.現代人が我慢できるはずはないので全く現実的でない。
2.そこで提案されているスローライフは現在の大量生産・大量消費・大量投棄を可能とするライフスタイルと比較すると非効率な贅沢品で金持ちしか達成できない。
3.さらには、ライフスタイルは温暖化の根本原因ではない、と主張されています。

という主張(名無しさんの予想通り1.2.は全くその通りだと思います.3.はなんともいえませんが)とそれへの批判がありました.批判の骨子は,

1.は豊か生活をするためにがまんして生産してるんだから、スローライフ=豊かな生活という図式が成り立てば、スローライフもがまんできるんじゃないかと思います。
2.大量生産・大量消費・大量投棄というのは、要らない物まで作って使って捨てているので、スローライフより非効率なんじゃないかと思うのです。
3.は確に温暖化は人為的か否かについて議論がありますが、人間による温室効果ガスの排出の増加は大量消費というライフスタイルの産物だと考えられますので、ライフスタイルの変更がそれを低下させるにはもっとも効果的なんじゃないかと思います。

にまとめられています.
 1.については,自由主義に関わる問題.現在,私たちは「がまんして働いて,生産して,バンバン使う……こともできる」+「スローライフがいいと思う人は勝手にそうすればいい」という状況にあります.一方,ライフスタイルを変えさせるというのは(自発的にそうさせるのは無理でしょうから)強制するしかない.これは自由主義社会の原則に反すると思う.で,強制も放置もいやなら……その間であるライフスタイルのちょっとした変更が「利益を生むようなインセンティブスキームを作る」ことが妥当な方針かなと思います.
 2.については,企業は「いらないもの」なんて作ってないという点をわすれちゃいけない.当初の読みがはずれて売れ残っちゃったとか,買ってみたけどそんなに食べられなかったというのは「要らない」というのとは全然違う.どんなスローライフにしても錯誤による無駄はでるでしょう.そうじゃなくてもったいなくて食べ物を残したりしないくらいみんなで貧しくなろうというならば話は別ですが.