マクロ経済学インパール作戦

 シノドスでまたまたセミナーをさせていただくことになりました.そういえばシノドスの主催者である芹沢さんと知り合ったのはちょうど1年前だったなぁ.
 第一回目のセミナーは「経済学思考と現代日本の経済シーン」と題しまして,エコノミスト特有の思考法と政策立案への生かし方についてお話しさせていただきました.こいつに大幅に修正*1をほどこしたものが『日本を変える「知」』の第一章です.
 第二回目のセミナーは岡田靖さんの講演の聞き手として,「高度成長とはなんだったのか − 日本流経済思想の源流と足枷」ってなお話に参加させていただきました.こちらも光文社Synodos Readingシリーズ第二弾に収録予定です!
 ともに現実の問題を経済学を用いて語るというセミナーでした.僕なんかに日本やら現代やらを語る機会をいただけることには感謝してもしきれないんですが,(一部の方はよぉ〜くご存じの通り)僕の真骨頂は現代の問題に鋭いメスを入れる論説……ではないです.
 そう.決まりきった内容を効率的に教えることこそ僕の「ウリ」のはず! 先月いっぱいまで財務省理論研修でマクロ経済学を担当していたのですが……久々のガチ講義で目が覚めました*2.僕の原点は予備校講師じゃん……って.

 というわけで,今回は時論も何も抜き.完全なる「授業」をしたいと思います.題して!


 こいつで戦後から直近までのマクロ経済学の流れを一気に勉強してもらおうと思います.セミナーって言うか授業だし,いつものシノドス時間(2時間)じゃちょっと短いなぁと思い,「授業」時間は3時間に設定しています……そして小一時間の延長はあるとお考えください.
 当日お話しする内容としましては,

1時間目:新古典派総合の経済学
2時間目:フリードマン・ルーカス革命
3時間目:リアル・ビジネス・サイクルの意義とニュー・ケインジアン・モデル


 いまのところの計画では上を各60分で間に10分休憩.授業後30分ほどフリーの質問時間というかんじで進めていきたいと思います.
 さて.経済学を勉強されたことのある方はこの授業計画をみただけで「なんじゃこの無理筋な計画は……」と思われたかと思います.60分でとりあげる内容がそれぞれ大学で言うと1セメスター分の内容ですから.自分でもよくもまぁこんな無茶なことを思いついたと思います*3

 
 「今回は授業をするぞ!」と考えたとき第一に思い浮かんだのが高3の夏休みに高校の先生がやってくれた「日本史インパール作戦」という夏期講習*4です.3日間6コマでとにかく近現代史をいっきにやる.どうかんがえても無理な講義計画だから題して「インパール作戦」というわけ.でも,これかなり役に立ったんですよ.ザッとだけど近現代史の表面が頭にイメージできてると細かい話も覚えられる.
 中身の証明はさておいてとりあえずどんな前提でどんな結論を導いているのかをザザァーっと頭に入れてもらう.高校の日本史・世界史が歴史研究ではないように,本セミナーでお話するのは経済学研究の話ではありません.経済学がやってることの表面の表面ををただ解説していく「授業」です.表面だけでも現代の理論を知っておきたいという人には是非聞いていただきたい.そして,これから勉強してやろうって意気込む人にとっても「学んだ先に何が待ち構えているのか?」を知らずに作業を続けるのは難しい*5でしょうから楽しいガイドブックを準備して差し上げたいと思うわけです.


 みごと作戦を成功させるか,講師が白骨になるかはみてのお楽しみ♪

*1:というか減量

*2:財務官僚のみなさんはいい意味でうるさいので,大学の講義で忘れかけていたことを思い出しました.駒大の子ってちゃんと出席はするし,静かに講義聞いてくれるし,さらに大学はアンケートで減俸されたりしないのでついつい甘えてしまう.すると「聞き手と話し手」の関係は「お客様とサービサー」だってことを忘れそうになってしまうんですよね.

*3:なんか思いついたらすごく楽しいことのように感じられてテンションが上がってしまったというだけなんですが……

*4:僕の出身高校では夏休みや冬休みに有料の補習があった.ちなみにこの講習をしてくれた大木先生は今は駿台予備校の先生をされているそうです.当時から凄腕でした.ちなみに6コマといっても高校の6コマなので50×6=計5時間足らず.

*5:少なからぬ人が途中で心が折れちゃうでしょう