『農業で稼ぐ!経済学』

 更新全然してない&更新したと思ったらまた告知でおなじみの「こら!たまには研究しろ!!」ですが,今回もそのスキームから抜けていません.blogにtwitterfacebookとどんどん使いこなせている人ってどういう時間管理しているんだろう…….ただ,blog更新がトロい理由のひとつを今日発見しました!


ブックマークに入れてなかった!


 ふた月ほど前にメインのPCを変えたのですが,そのときあまりにも多いブクマを捨ててどうしても必要なものだけ再登録していたら,なんと自分のblogを入れてなかった*1……そしてブクマにないと「なんとなく見る」ことが無くなって,自分の「日常業務の外」になってしまう.うーん.なんとなくこれって"nudge"?

すいません本題です

 農業ジャーナリストでコンサルタントの浅川芳裕さんとの共著が出ます.この組み合わせで共著だと対談本?と思われるかもしれませんが,内容は「浅川&飯田で協議して書いた部分」「各自の書いた部分」「対談」の3種類混成本になっています.


 本当は3月半ばに完成して5月には出ている予定だったのですが,いろいろと世の事情が変わりすぎまして修正と対談の追加を行った分ずいぶんと遅い出版になってしまいました.といってもそれほど時事的な本ではないです.どちらかというと農業の構造問題に関する本になっているかと.


農業で稼ぐ!経済学

農業で稼ぐ!経済学


 浅川さんも早速ご自身のblogで紹介されています.結構熱いノリで作った本でして,浅川さんの「はじめに」は名文なので必読です! んで駄文の方の僕の「おわりに」は以下のとおり*2

 私たちが毎日口にするものの大半が、その原材料をたどれば農産物です。そして日本人ならばほぼ毎日コメを食べている。美味しい食事を食べると嬉しいし、いまいちなものを食べると何だか1日損した気分になる。人間の生活にとり「農」は必要不可欠なもの、そして不可欠以上の存在です。
 そのためでしょうか。人は「農」の話になると、とても冷静ではいられなくなる。普段は論理的な人も、ついつい非論理的になってしまう。私たちにとって大切で、何としても守っていきたいモノに対してこそ、冷静な議論が必要だと思いますなのではないでしょうか。
 本書の執筆のきっかけ元になったのは、非人間的な論理の押しつけで知られる経済学者の端くれ飯田の質問への浅川芳裕氏の返答です.が折に触れ行なった数々雑多なの質問に、浅川芳裕氏はが日本の農業現状を踏まえて的確に答えてくださいましたれたことに始まります。。農業分野への取材・情報提供の第一人者である浅川さんとの問答を通じては、飯田がはこれまでの空理空論ではない、日本の農業の実情に即した経済学者を考えると大きなきっかけとなりました。この経験を 飯田が独占するのはもったいない――それが本執筆の動機です。
 経済学者が農業を語ると、その切り口はだいたい2つしかありませんでした。「ヨーロッパでは」「アメリカでは」と海外事例を押しつけるだけのもの。もうひとつは経済学の基本原理を愚直に適用して何でもかんでも市場に任せとけばいい、という放任主義一辺倒で農業を語るというこれまたおなじみの手口ですのいずれかです。
 前者のような海外事例紹介は、土壌も作物も消費者のニーズもまったく異なる日本ではたしてどの程度意味のある提言なのか、疑問が残ります。その一方で、多くの経済学者のいう放任主義は、僕にとっては大変心地よい論理なのですが、これまたにどうも全面的には賛同できない気がしてしまうは少々疑問が残ってしまうのです。「何でもかんでも市場にまかせる」っていったいどういう状態なのでしょう? そんな産業、どこにあるのでしょうか。第一に、現在のシステムをすべてぶち壊して、明日から世界をすべて創造するような設計は夢物語。いずれの話も空理空論のように感じられてならないのです。
 私は現代人にしては珍しくコメ消費量が多いこともあってか、死ぬまで日本のコメを食べて生きていきたいと思っています。しかし、日本の農業が継続されるために海外との交流を絶つべきだ、政府はもっと農業を保護するべきだという農業保護論にも論理的にも、感情的にも、どうにも乗れません。事業が健全な形で継続されるためには、自分の力で存立していくだけの体力が伴う必要があるのではないでしょうか。
 このように考えると、日本の農業に対して私たちが行なうべき政策提言は農家の自立を促進する、そして自立できる農家がよりいっそう発展するための政策システムづくりということになるでしょう。そして日本の農家に対して私たちが行なうべき情報提供は、「儲かる農業」をどのようにつくっていくかという課題へのヒントを出すことになるかと思います。
 本書が冷静に、論理的に、そしてビジネスライクに豊かな日本の農業をめざすきっかけになってくれれば、と願ってやみません。

*1:必要なときはどうせ検索すれば出てくるので困らなかったので

*2:一部抜粋