読書短評

 あまりにもblogを書いてないので,読書日記つけてみることにしました.最近*1に読んだ中で,主にイイネ!と思ったもの,気になった一節なんかを書き留めておきます*2.別に新刊紹介ではないので,刊行時期は気にせずに書いていきます.

今回のおすすめ

 世代論のサーベイと計量的な分析で構成されるクリアカットな一冊.何十年も繰り返されるいわゆる「若者語り」を整理し,その(僕にはほとんど同じと思われてしまう若者論の中の)差異から「若者の自己」とその多元化を語っている.
 サーベイが厚いので,めちゃめちゃ量が多い若者論市場で誰が何を言ってたのか思い出すのにも便利.経済決定論にも一定の配慮があり,一般書にもかかわらず計量的な証拠づけも示されている.どこに根拠があるのか分からない若者論を何十冊読むより,これをゆっくり読んだ方がいい気がする.

おもしろかった

ネットのバカ (新潮新書)

ネットのバカ (新潮新書)

 中川さんの本はいつも読みやすいんだけど,これは特に話がまとまっているので,「中川淳一郎入門」として良い気がする♪ ただここまでネタ大放出で書くと,次著で苦労する気がするんだよなぁ...【ネットでウケる12箇条】と【ネットで叩かれる12箇条】の壁紙とか作ったらウケるかも(もちろんノマ猫イラストかなんかつけて).


 商店街がなぜダメなのか−−商店主の意欲と能力が低いからという(地域コンサルとしては)かなり危ない橋を渡った書き出し.普通は「有能な地域コンサル」=「補助金とってくるのがうまい人」なんだけど,筆者の商店街再生はこれとは根本的に違うもの.非常におもしろい実践例が多いし,有名商店街の成功と失敗なんかは話のネタにもなる.惜しむらくはもう少しデータを掲載して欲しかったところ.


日本経済論・入門 -- 戦後復興からアベノミクスまで

日本経済論・入門 -- 戦後復興からアベノミクスまで

 大学の担当科目が「現代日本経済論」なので参考に.復興からアベノミクスにいたる日本経済を概説的に整理しているので,学生に時系列を理解させるのによいかも.比較的労働者の移動に注目してまとめているところが特色&わかりやすい.ただし,あまりにもサプライサイドだけに注目しているのでちょっといかがなものかと.90年代以降の停滞,アベノミクスについての解説で(リフレにせよ反リフレにせよ)金融政策の説明を飛ばすのは入門書としてもいかがなものか.


世界は宗教で動いてる (光文社新書)

世界は宗教で動いてる (光文社新書)

 おもしろい.同じく橋爪大三郎『世界が分かる宗教社会学入門』(ちくま文庫)もおすすめ.ってかこれを一押しでもよいんですが,あまりにも専門外すぎて氏の話がどの程度信憑性のある議論なのか皆目見当がつかないので……むしろblog見てる人に教えて欲しいなぁ.

*1:できれば各週くらいで書こうと思うので,今回はここ半月

*2:くだらないと思ったもの,つまらないもの,カス……の悪口も書きたいんだけど,批判するからにはそれなりに内容を紹介したり,こっちも反証を示したりしなきゃならないので,時間の無駄だからやらない.