やっぱり先進国の人口成長率と物価上昇はあんまり関係ないみたいです

先進国の人口成長率と物価上昇はあんまり関係ないみたいですの続編です.前回の記事をうけて,twitter等でいくつかコメントをうけたのですが,前回の散布図で「人口成長と物価上昇の統計的関係を否定した」なんて大それた事を言っているわけではないのでご注意を.それをうけてのいくつかのコメント.

  • 単純な散布図で両者の関係が希薄だということがわかると,「仮に人口が物価に影響している」としても*1,その他の要因の方が影響大きいみたいだとわかる.
  • 人口ではなく労働年齢人口を使うべきと言う意見はよくわからない.むしろただ消費するだけの従属年齢人口の方が物価にとって重要な気がするんだけど…….
  • ついでに小データで「労働年齢人口とだと正相関があるのに,人口一般だと消えちゃう」ってことは,やはり「あんま関係ない」がひとまずの結論なんじゃないかなぁ
  • 現在の人口成長ではなく,将来の人口成長が重要という見解があるけど,人口成長率ってそんなに急にかわんないからあんま変わらないと思うよ.もっと遠い将来の人口変動が重要というならなぜすでに人口減少が予想できた80年台の日本ではデフレじゃなかったのかに答えられないしね.

なお,最後の疑問は簡単に答えられるので,答えてみた.前回同様,2000年台のCPIと2008-2017の人口変化率のプロット図.ソースはIMF.なぜ人口の方が半端かというと,IMFの推計が2017年までだから.

やっぱりあんまり関係ない感じなんだけど.繰り返しになるけど,理論なしのデータからのファクト・ファインドの場合って,理論の検証と違って「あるデータでは有意な結果がある」ではたいした意味は無いと思うんだよね.

*1:ネットだとこの種の修辞法が思わぬ誤解を招くことがあるので注記.私は「人口が物価に影響する」とは言ってない.っていうかここでは問題にしてない.関係なさげだし,あったとしてもたいしたもんじゃない(表題通り「あんま関係ない」)点が重要.