お手伝いした書籍2点

 
 なんと……3年近くぶりのblog更新です.はてな記法を忘れてしまってます。。。
 ここのところ,初体験のタイプのお仕事を続けて経験させていただきましたので,ご報告とモロマまで.版元に連絡するほどでないちょっとした感想や誤植の指摘なども,コメントいただけましたら,重版時などに申し送りいたしまするmm

経済系学習マンガの「監修」をしました

 まずはこちら.『東大生が作った マンガ やさしい経済学入門』の監修をさせていただきました.監修といっても,今回のお仕事はネーム段階まで進んでいる作品の中で「用語のミス」や「経済学的に完全に誤り」といった部分を指摘するというもの.
 まぁ「東大生がつくった」ですから,監修も元東大生にやらせようかという話何ではないでしょうか.「東大まんがくらぶ」は私の在学時にはすでに名門サークルでしたが,今も元気ですね! 原作者の「あとがき」に私が所属していたサークルの話もチラッと出てきます(笑)


 内容は,ファンタジー世界で「発展途上国(というか後進国)の姫君が経済を発展させていく」というストーリーの中で,基礎的な経済理論を解説するというもの.需要と供給,独占の弊害,重商主義の誤りと比較優位といった内容が中心です.舞台が舞台なので,基本的にはサプライサイド経済学前回な内容です.姫君と経済顧問の腕で発展した王国……次に必要なのは総需要管理政策!ということになるかもね♪


東大生がつくった マンガ やさしい経済学入門

東大生がつくった マンガ やさしい経済学入門


P.S. 奇遇にも(?),またもマンガの監修のお仕事をいただきました.こちらは連載ベースで,(一部に)有名な作家・漫画家の方とご一緒させていただきます.詳細は今しばしお待ちを!



偉そうに「解説」なんかをしてみちゃってます

 次にご依頼いただいたのは……我らが海老原嗣生アニキの新著,その解説という大役です.海老原さんといえばなんと言っても雇用,キャリアデザインですよね.でも,実は入門書ライターとしても超一流の腕をお持ちです.『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論』(プレジデント社)は名著なので是非ご一読を!
 海老原さんの入門書シリーズ第二段は経済! 経済学者の書いた経済入門って……経済学の基本構造の説明を優先するがあまり時事ネタがおろそかになっていたり,ジャーナリストが書く経済入門って……時事ネタの解説を重視しすぎてなんとか用語の基礎知識と変わらなくなっていたり.どうもビジネスパーソンにとっての「経済入門」本は帯に短したすきに長しになる傾向があります.一方で,本書は(前著同様)「役に立たせる」という姿勢が前面に出ており,細かい理屈や細かい用語ではないお役立ち感を重視する方にお勧めできます.


 そんな本で飯田が何をしているかといいますと,本編で取りこぼした細部の議論についてちょっとした解説の章を担当させていただいております.海老原さんの経済論とは一致するところ,そうでないところ双方あるのですが,そのような意見の相違まで含めて楽しんでいただければと存じます.


8月16日饒舌大陸2周年記念イベント来場特典

「饒舌大陸」2周年記念ライブ開催!!
〜これからのセルフブランディングと頑張らない生き方を学ぶ3時間〜


 しつこいくらい告知しますが,8月16日に新宿ネイキッドLOFTにて,常見陽平さんとの饒舌大陸二周年イベントが開催されます.

  • 飯田どもにちょっとかまってやるかという方

のみならず,

  • LilCouleurのファンだ

という方も楽しめる内容です(後半はリルクルずっと出演です).あと,隠れキャラ的に別のアイドルさんも来るかも...
 せっかくなので,来場の皆様に何かお土産を...と思うのですが,当方アイドルではないのでグッズとか握手券とか無いんです.そこで,以下のいずれかの特典をつけることにしました.

  • 飯田の本(常見ファンのみなさま,これを機に飯田の本も読んでみてください)
  • 常見さんからおすすめ本プレゼント
  • 表ルートでは手に入らないDVD(噂によると常見さんも出ているとか。。。)

早い者勝ちで,お好きなモノをどうぞ.プレゼントがしょぼいとかいわんといてmm

【開催概要】
日時:2014年8月16日(土)
18:00開場 / 18:30開演 / 21:30終了予定<出演>飯田泰之常見陽平<第2部ゲスト>巨椋修、LilCouleur
※ゲストに一部変更がありました

チケット:前売 2500円 / 当日 3000円(飲食別)

会場:ネイキッドロフト(JR新宿駅東口10分)
所在地:東京都新宿区百人町1-5-1百人町ビル1階
問合せ:03-3205-1556


◆チケット詳細はこちら◆


※第1部の模様はニコ生「ゲキビズ田原チャンネル」で中継します。=>http://live.nicovideo.jp/watch/lv186497892

饒舌大陸2周年記念イベント本日発売です!


「饒舌大陸」2周年記念ライブ開催!!
〜これからのセルフブランディングと頑張らない生き方を学ぶ3時間〜

【開催概要】
日時:2014年8月16日(土)
18:00開場 / 18:30開演 / 21:30終了予定<出演>飯田泰之常見陽平<第2部ゲスト>巨椋修、LilCouleur
※ゲストに一部変更がありました

チケット:前売 2500円 / 当日 3000円(飲食別)

会場:ネイキッドロフト(JR新宿駅東口10分)
所在地:東京都新宿区百人町1-5-1百人町ビル1階
問合せ:03-3205-1556


◆チケット詳細はこちら◆


※第1部の模様はニコ生「ゲキビズ田原チャンネル」で中継します。=>http://live.nicovideo.jp/watch/lv186497892


さて,僕としては久々のイベントですが,今回のテーマはセルフブランディングと頑張らない生き方...

 セルフブランディングというとノマ子とノマ夫がスタバでMac Book Airを開きながらなんかSNSする...みたいなイメージしかない(少なくとも俺はそうだ).なんかすごい頑張ってるかんじ.でも,よくよく考えてみると,


SNSってセルフブランディングツールとしてはあんま役に立たないんじゃ?
あまり頑張らないで生きて行くためのセルフブランディングもあるんじゃないかな?


とも思えてくるんです.

 そこで,第一部は番組開始から常見さんと俺がこれまでの番組を振り返りつつ,ここ二年での日本・論壇,そして自分の変化と実践してきた(?)セルフブランディングについて語りたいと思います.さらには,これからの日本経済はどうなるんだ? というかおまえらは今後どうなるんだ……まで,語り尽くせればと.

 第二部はまだ何するか考えてない...せっかく僕の知人内でもっともあやしいおじさんである巨椋修氏とLilCouleurさんがいるわけですから,漫画家・アイドルのセルフブランディングから,観客の皆様からの個別相談まで,縦横無尽に遊びたいと思います!なんといっても第二部は完全closeイベントですから,心から好き勝手に話したいと思います.

 その他,こんなこともやってくれ,こんな話をしてくれ!等ありましたらコメント欄にどんどん改訂ってくださいませmm


P.S.
どうでも良い特典かもですが,開始前にアンケート配るので質問どんどん書いといてください!一部ラストか二部にかなりの高確率で返答します.あと,希望があれば少なくとも飯田は必ずサインします.僕の本ならなんでもよい(なんなら関係内本でも^^).LilCouleurさんについては月曜に相談してくるね!

高所得者に2.5倍お得な軽減税率!

 とても想定内とは言えない消費動向かなり不安な機械受注統計にもかかわらず,なぜか来年10月からの消費税再増税の議論が進んでいるわけですが…….そのなかで何よりもマズい課税方式!軽減税率が現実味を帯びてきました.
 一般消費税の利点は,全ての財に等しくかけられていること.その大きな利点をわざわざ損なうようなまねをなぜするのか全く意味が分かりません.複数税率はインセンティブを歪めるため,効率的ではないという点に異論のある経済学者はいないでしょう.増税の是非はともかくとして,軽減税率には全経済学徒は他の論点の相違を超えて団結して反対していく必要がある.
 税制の効率を損なってまで軽減税率の導入を目指す……その際の理屈が「低所得者対策として必要」というものです.しかし,


その嘘ホント!?


 日本はあまりエンゲルの法則(高所得者ほど支出に占める食費の割合が下がっていく傾向)の成り立ちが良くない国です.低所得者層で支出に占める食費の割合は25%,高所得者でも20%くらい.あまり下がらないのです.日本人にとって食は「生きていくための栄養補給」に限定されるモノではなく,なによりの「楽しみ」ですからね.


 軽減税率でどのくらいの所得の人が何円減税になるんだろう.家計調査で計算してみようとしたら……もうやってる人いました.それがこちら!「軽減税率について考えてみた〜エンゲル係数から低所得者対策ではない(政治について考えてみた 2013/12/10エントリ)」です.ちょっと表を引用してみましょう.

 食費の5%軽減税率で,低所得者層は1700円/月の減税,高所得者層は4100円/月の減税.なんと高所得者層の方が2.5倍も減税.大間のマグロも神戸牛も魚沼産コシヒカリも軽減税率で安く買えてみんな大助かりですね.
 ここからも分かるように,


軽減税率は低所得者対策ではありません
軽減税率はむしろ富裕層減税です


仮に本当に低所得者対策をしたいと考えているのなら,その手段は給付でしょう.その方が安くあがります.
 どう見ても筋の悪い軽減税率が「低所得者対策の定番」のように議論されるのはなぜでしょう.ここで想像の翼を働かせてください.軽減税率制度が実施されることになったら,全ての業界は「自分の商品を税軽減対象にしてほしい」と思うはずです.では自分の商品を税軽減対象にしてもらうためにはどこに,誰に頼みに行けばよいでしょう.その「お願い」をかなえてもらうためには何を差し出せば良いでしょう……落ち着いて考えると,軽減税率は低所得者対策ではなく,政治家の権力維持,官僚の天下り先確保のためにあるのではないかと勘ぐられてならないのです.


 選良たる政治家の皆様,日本の将来を憂える官僚の方々がまさかそんな汚いことを考えているわけはないですよね.だったら,効率性を損ない,低所得者対策にならず,税収を減らす軽減税率はあまり良い手法ではないことに早く気づいて欲しいなぁと思うのです.

消費増税後の消費動向

株式市場・労働市場が比較的堅調であることから忘れられがちだけど...消費の現場に近い人ほど6月に入って景気に急速に暗雲が立ちこめてきていると言う.今月の家計調査を見るとかなり心配な結果になっているみたい.
 そこで,ちょっと前回の増税と今回の増税の違いをまとめてみた.

まずはデータから

 ここでは家計調査の家計消費水準指数を使おう.ニュースなどで見る家計支出額等だと世帯人員数や物価の変化が混在しているので(それでも以下の傾向はほぼまんま維持される),これらの調整を行った指数値の方が実態を反映していると考えるからだ.
 増税の半年前から増税後1年間の消費動向を見ると...

となっており,今次の増税の影響は過去の比を見ないものだとわかるだろう.ここまで極端な下振れを想定内だという論理が僕には分からない.
 この落ち込みは,昨年前半の消費の急回復によって誇張されているという意見もあるんじゃないだろうか.そこで,あまり見ない方法だけど,一昨年の同月比ともくらべてみるとしよう.

結果は変わらない,というか前年比より酷い落ち込み様だということがわかる.

これまでの消費増税と今回の消費増税は全然違う

 なぜこんなにも今次の増税の影響は大きいのだろう.一昨年来,それこそ政権交代前から繰り返してきたとおり,89年増税の際は物品税の廃止や所得・資産課税減税でマクロではむしろ減税が行われている.97年増税も同時に所得・住民税減税が行われ,これに社会保障給付の増大を含めると増税分と減収分はほぼ同じ.
 これに対して,今回の増税は純然たる増税! その影響は当然大きく異なる.経済学好き向けに言うと,これまでの消費増税は代替効果だけ.今回はそれに(負の)所得効果が乗っているんだ.増税の影響を前回と同じ程度にとどめるためには,デフレ脱却が達成され,一般世帯の所得上昇が明確になってからでないといけなかったはず...
 今年4月の消費増税は現時点でのデータからは失敗だとしか判断できない.7月に消費動向の急激な回復がおきる可能性は否定できないが,その可能性は薄いだろう.

ではどうしたらよいの?

 誤りを正すのに遅すぎると言うことはない.少なくとも経済政策について安倍政権はそれが出来る(出来てきた)政権だと思う.第一次内閣での失敗を生かし,金融政策による景気回復に舵を切ったのは正しい選択だった.これを教訓に,来年9月の増税については見直すのが妥当だろう.
 消費増税は既定路線だから,もう変えられないからという場合にも策はなくはない.でも,まず現時点でのファーストベストは10%先送りだと思うので,これについて語るのは秋口以降にしたい.できればその機会が来ないことを祈るばかりだが...



NHKラジオビジネス塾 思考をみがく経済学

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