ご質問二題♪
ながらくご無沙汰しました.blogが全然更新されないのでメールまで下さった方……ありがとうございます.別に健康を害したとかではありません(除く花粉症)&研究に専念していたわけでもありませんorz え〜と.単に年度末雑務が重なったのとネタ切れです.
経済系blogでは日銀総裁選祭ですが,これは周回遅れ感があるので空気を読まずコメント欄にお寄せいただいた質問に答えてみたいと思います.ちなみに,日銀総裁選出祭に関しては林先生の言及が面白い.ただし,植田副総裁案についてはご本人にやる気がなさそうなので難しいかとも思いますが*1.
まずは【ざるそば】さんの疑問
通貨はなぜいろいろな種類があるのですか?
この疑問が浮かんでいろいろ考えましたが、諸国民が納得しないからとか各国物価が違うからだとか自分なりに考えましたが、しっくりとした答えが出ません。
通貨は1種類ではいけないのでしょうか。
です.これは意外と重要な話題です.まずは結論から.
- 各国に独自の通貨があるのは独自の金融政策を行うため
であって,それ以外ではありません.独自の金融政策を行う気がないのならば,独自通貨を設定する意味は全くないのです.もし,マネーが実体経済に影響を与えないならば「独自の金融政策」など必要ありません(必要というか意味がない).したがって,独自通貨の存在は「金融政策が実体経済に影響があると思っている」ことの現れといってよいでしょう.
なお,固定相場制はある国の通貨との交換比を固定してしまう制度ですが,「今後その交換比を変更する」かもしれない場合に備えていると整理できます.
続いて【柏木】さんの疑問
はじめまして。財政赤字を家計の赤字に喩えるのは、日本の国家財政に関しては間違いだというのはよくわかったのですが、地方財政に関してはどうなのでしょう。
地方自治体の経済統計には詳しくありませんが、財政破綻の危機が問題になるような自治体の場合、どう見ても域外に対する資産より負債の方が多そうなので、これについては家計の比喩が成り立つのかな?と思ったのですが。
【柏木】さんの解釈は内国債/外国債の区別(新正当派的な解釈)に近いモノです.ちなみに僕も新正当派的な解釈がしっくりいくと考えています.内国債を日本の借金と考えるのがおかしいのは,日本国債という負債を負っているのも,日本国債という資産を持っているのも(日本国に納税義務のある)日本国内の経済主体であるためです.一方,地方債は地産地消(?)されているわけではないので,その自治体にとって一種の外債にあたります.したがって,地方債の累積は「その地方の住民の負債」と考えてよいでしょう.
ただし,内債/外債の区別に意味はなく,金を借りてある年に言い思いをしてその後にその代金を払っているだけだから借金そのものに超過負担があると考えること自体おかしいという主張もあります.また,地方自治体が破綻しても最終的には国が何とかするのだから国債と区別する必要はないないという政治経済学的な考え方もあり得るでしょう.
*1:審議委員任期7年で一度も議案提出しない等,いざ入ってみるとそんなにご本人にとって「向く」組織でなかったのかと類推されます.