オーバーフロー中

 先月から妙に用事が重なって完全に処理能力を超えています.メールの返し忘れとかあるかも知れません……ホントすいませんorz そんななかで絶対に読まなければならない本を3冊御恵投いただいてしまいました*1


一冊目は,

です.言わずと知れた稲葉先生なので,有名理論のおさらいと○○社会学カタログを……なんてぬるい入門書ではないです.社会学における「理論」の意味からはじまり,経済学者の大好きな「方法論的個人主義」に対置される方法論を示す.んで,そのフレームを維持しながら近代社会学の古典を説明しようという意欲的な試みになっています.『ヤバい経済学 [増補改訂版]』や『人でなしの経済理論-トレードオフの経済学』を読んで「経済学的方法論で社会学仏陀義理だぜ!」とはしゃいでる厨房*2必読の書.
 ちょっとだけけなすと,他の学問分野のディシプリン無い状態で本書を読んでもぜんぜんその価値がわからないと思いますぜ.その意味で,経済学or現代思想の素養があって「社会学って結局は何なのよ」という疑問を感じたことのある人への「社会学入門」かな. 芹沢一也氏と遊ぶようになってから社会学ベースの方とお話しする機会が増えました.社会学が何やってるのかそろそろ真面目に勉強せにゃあなと思っていたタイミングだったので嬉しい限り.関係ないですが,リーディングリストで勝手に尊敬している伊勢田哲治さんの本の横に拙著『ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)』並んでいたのが嬉しい♪

社会学入門 〈多元化する時代〉をどう捉えるか (NHKブックス)

社会学入門 〈多元化する時代〉をどう捉えるか (NHKブックス)


二冊目は

昨夏に神戸大学で伺った論文も同書内に収められています.光栄なことに3章はそのかなりの部分が『昭和恐慌の研究』の飯田・岡田論文の再検証と批判に割かれています.昭和恐慌からの脱出に関して,飯田・岡田論文の結論は金本位制停止と国債の日銀引受アナウンスの「二段階レジーム・スイッチ」ですが,本書の結論は一段階目は検出できるものの二段階目は検出できないというものになっています.
 なお,本書後半では昭和恐慌期の日本経済は小国開放経済で近似できる水準のため,その教訓が直接生かされるのはむしろ長期的な不況に陥った「今小国の国」ではないかとの提案が行われています.
 ハードな学術書ですので,ざっと目を通しただけではまっとうなコメントはできませんがゆっくりと目を通して反論できる点は反論していきたいと思います.
 それにしても……もう『昭和恐慌』から5年なのね*3.そろそろニューバージョンが必要だって気がしてくる.一応多少は進化したつもりですしね.

世界恐慌と経済政策

世界恐慌と経済政策


三冊目はまだ見本本なので,おおっぴらにコメントしていいのかどうか不明なので書名は控えますが,経済学的知見を使った実用書っていいよねこのぉチョンチョン.

*1:いや……変な言い方になってしまいましたが,大変感謝しております.先週とても本を読んでいる状況ではなかったのでこれから真面目に解読させていただきます.

*2:=漏れ等

*3:飯田・岡田論文を書いたのはその2年近く前だから……都合7年だ.いやぁまだ26とかだったじゃん俺.