『ウェブ進化論−−本当の大変化はこれから始まる』(梅田望夫,ちくま新書)
激しく今更感が漂うのですが,遅ればせながら『ウェブ進化論』読了.
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: 新書
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内容の是非や役に立つか否かについては死ぬほど感想文が出ていると思うので付け加えることは少ないんですが,非常に印象に残ったのが「ウェブ上の民主主義」「wisdom of crowds」という視点です.顔の見えない不特定多数の好き勝手な行動が「それなりの」秩序を生むという考え方はまさに経済学の基本思想でもある.
例としてアメリカ大統領選先物相場の話が出ています.まぁ,相場があるものに関して合理的な予想が行われるというのは経済学とにとっては「あぁ,やっぱりね」なわけですが,直接的な金銭的利益が発生しない分野(例:Wikipediaとか)が機能していることも非経済的な分野での経済学的な結論と考えられるのではないかと思いました.
また本書の魅力を大きく引き上げているもののひとつに,適度に短く,小気味のいい文体があります.っていうか血湧き肉躍る感じ♪ 今月中旬にはちょっと続編の『ウェブ人間論』(梅田望夫・平野啓一郎,新潮新書,asin:4106101939)が出版されるようですが,対談よりは文章の方が向いてそうな人だなぁ.