テレビとゲームと社会が悪い♪

名無之直人さん(朝日新聞に見る『ダメな議論』←言及ありがとうございますm(__)m),GMS学部の山口浩先生(いじめもゲームのせいになる、という話)で話題になっている朝日新聞の記事ですが,

 1日のテレビ視聴が1時間以内の子に比べ、4時間以上の子がいじめをした経験は、高校男子で1.2倍、同女子で1.4倍多かった。ゲームの時間や携帯電話のメール交換頻度でも同じ傾向が出た。

 木原助教授は「テレビやゲーム漬けの状態が攻撃性を育て、人間的なつながりの薄さが精神的不安定を引き起こすことで、いじめが生まれる可能性があるのではないか」と分析。


出典:いじめ、テレビやゲーム漬けが影響か 京大など調査

 『ダメな議論』で言及した「最新の研究成果の断片を変な形で引用」のケースかな.でも,京大のニュースリリースによるとそうでもないのかな.僕もこの報告書がどういう調査のコントロールと多変量解析の手法を用いているのか興味津々ですが……

 山口氏の指摘する「もう一段前の共通因子があるのではないか?」ですが,「テレビ・ゲーム・携帯電話」が「いじめ等に同じ傾向的影響を持つ」ときたらもう共通因子は見えてきたように思う.

・生活荒廃度(?)の代理変数
・IQまたは学校のレベルをコントロールした成績
・親の所得
文化資本の代理変数

あたりをいれると結論は全然違ってしまうと思われる.しかし,これでは調査が大規模になってしまう.なんとか手持ち(していると思われる)データで改善する方法はあるように思うが.


追記:
 TV・ゲーム・携帯の影響を知りたいなら学習+課外活動時間はコントロールしないと研究としてだめだめだ……でもそれで課外活動時間が有意にマイナスだと「強制ボランティアでいじめはなくなる」とか解釈する人が出始めるんだろうなぁ.単に学習+課外をコントロールするのは「TV・ゲーム・携帯の固有の影響」と「不良,DQN度によるもの」を区別するために必要だってだけなんだけどね.
 「暴走族の髪型はリーゼントだ(いつの時代だ^^)→リーゼントは反社会性をを育て,精神的不安定を引き起こすことで,暴走行為が生まれる可能性があるのではないか」「泥棒はほっ被りをしている(藤子マンガかよ^^)→ほっ被りは犯罪性向を育て,窃盗行為が生まれる可能性がある」という主張の妥当性を考えてみると良い.