官僚・マスコミ……そして大学教員の生涯賃金
さて，bewaad氏＆山口浩氏のところで話題の公務員待遇の問題ですが……おふたかたがその社会的意義・問題に主な論点を絞ってらっしゃるので，僕はあくまで「人の給料が知りたい」という覗き根性でまとめてみましょう．
日刊現代によると8億にも上る人がいるというキャリア官僚の生涯賃金ですが，これはあくまでひとにぎりの超出世組のお話．bewaad氏によるキャリア官僚の生涯賃金の推計は，
人事院が示すモデル給与例を見れば局長級は年1,746万円、局次長級は示されていないので局長級と課長級の平均を用いれば1,457万円となり、それぞれの3年分・2年分を足し合わせれば、8,152万円を差し引くことになります。
退職時のポストが低くなれば退職金や天下り先での給与も低くなるのが一般的傾向ですから、それらもあわせて合計で8,500万円を差し引くとすれば、先の例でいえば3億5,100万円〜4億5,100万円といったところでしょう。つまり、「大手金融機関の幹部候補生である有名大出身者」と同水準ということになるわけです。
とのこと．これに対して，cloudy氏が示してくれた賃金ランキングを見ると，マスコミはキャリア官僚なんて話にならないくらいの高給取りであることがわかります．況や「日本のサラリーマンの平均年収は400万円台 東証1・2部企業の平均年収は605万円」との比較をや．
上場企業生涯賃金ランキング（万円）
1 キーエンス 61,000
2 フジテレビジョン 60,000
3 朝日放送 59,000
4 日本テレビ放送網 56,000
5 ｽﾊﾟｰｸｽ・ｱｾｯﾄ・ﾏﾈｼﾞﾒﾝﾄ投信 55,500
6 ダヴィンチ・アドバイザーズ 55,000
7 ｼﾝﾌﾟﾚｸｽ・ｲﾝﾍﾞｽﾄﾒﾝﾄ・ｱﾄﾞﾊﾞｲｻﾞｰｽﾞ 54,500
8 テレビ朝日 53,000
9 電通 52,000
10 パシフィックマネジメント 49,000
追記：生涯賃金は退職金含まず
さて……ここまでやったらやらなきゃいけないことがありますね．そう．大学教員の生涯賃金についてです．これには東京私立学校教職員組合連合が出している各年度の『首都圏私大の賃金及び教育・研究・労働条件』が参考になるでしょう．
そこで，僕の自宅にあった資料を使って「都内にある大手私立」のなかで，給与水準が上の中くらいの大学に一生勤めると仮定した場合の生涯賃金を計算してみたいと思います*2．
モデルとしては30歳で専任講師として就職，35歳で助教授昇進，45歳で教授昇進，65歳で定年としましょう．また，扶養家族は期間を通して2人（妻＋子1人）とします*3．ボーナスは6.0で計算しましょう．
年間給与
30歳講師 700万円
35歳助教授 900万円
45歳教授 1200万円
55歳教授 1300万円
65歳教授 1400万円
超コマ手当が年に30万，その他突発的なものが20万，研究費が50万ほどつきますから実際はこれに100万ほど足したものが実勢での税引き前年収ということになりますがこれは生涯賃金計算からは除いておきましょう．また，勤続手当がある大学はこれにさらに年10-20万上乗せされます．
各年齢層の中間部分は直線補完し，退職金は，勤続35年定年退職で60ヶ月（4500万円）ほどとします．65歳から他大に移るというのは最近はまぁ無いでしょうからその後は年金暮らしとします．また，専任職に就く以前の収入は年200-300がいいところですから，学部卒業〜二十代での総収入は計1000万とします．
わりと待遇が良い方の大学を勤め上げた場合の生涯所得は……約4億6000万円
となります．定年が70の大学ではこれに7000万円ほど上乗せ．もっとも大学教員の給料は今後だだ下がりな上に，大学自体もいつまでモツかわかったモンではないし，それに65まで健康な保証もないんですが，計算前に予想していたよりは高くてびっくりしました．やはり助教授→教授にかけての賃金上昇が大きい*4みたいです．
え〜と．え〜と．明日から誠心誠意学生サービスに努め，頑張って雑用をしようと思います．
