速習!学びなおしの経済学

 シノドス日経BP共催の講演会に招かれまして,今回は7月の『マクロ経済学インパール作戦』よりはやや平易な内容で,6時間+α(!)のレクチャーをやらせていただくことになりました.徐々に授業カンも戻ってきたので,がっちりミク・マクをわかってしまいましょう.
 題して,


「速習 学びなおしの経済学」

シノドス×日経BP社共催 Lecture01
飯田泰之「速習! 学びなおしの経済学」
日時 : 2009年9月6日(日)
第Ⅰ部 10:00〜11:30 11:45〜13:15
第Ⅱ部 14:30〜16:00 16:15〜17:45
場所 : NBFプラチナタワー(白金高輪駅


レクチャー概要:
今回のレクチャーでは、90分の講義4コマで、ミクロ経済学マクロ経済学の概要を把握することを目標 とします。


第1部 経済学思考からミクロ経済学
日常の思考・判断は、しばしば感情・慣性に支配されます。そこでこのレクチャーでは、合理的な判断の必要性を示すとともに、意志決定ツールとしての経済学思考の重要性を解説します。この経済学思考が、もっとも直接的に問題に適用されているのが基礎的なミクロ経済学です。現代のエコノミストの主張を理解する上でも、さらにはマクロ経済学を理解するためにもミクロ経済学はその出発点となっています。そこで、教科書的なミクロ経済学の流れを説明することで基本としての競争均衡の効率性と、その問題点の理解を目指します。


第2部 マクロ経済学の基礎と実証分析
経済政策の問題を考える際には、時にはマクロ経済学の知識が必要となります。現在でも日本の「経済論」の多くは、新古典派総合=ケインジアンモデルに依拠して行われています。そこで、教科書的なマクロ経済学の中心である新古典派総合=ケインジアンモデルを概観するとともに、同モデルがなぜ現代経済学の中で顧みられなくなったのかを解説します。一方、これらの理論的な理解だけでは経済学の意味、その有用性を十分に理解することはできません。そこで、典型的な実証分析の手法についても言及することで、現代の応用経済学の概要についても理解いただけるように配慮いたします。


追記:各部終了後に20分ほどの質疑時間を設ける予定です。


です.まぁ,「学びなおし」でも「学びはじめ」でもよいのですが…….
 新聞・雑誌等での経済論はえてして発言者の依拠する理論までは語られないわけです.そうすると,その結論に至るプロセスが見えないから「なんとなく感情的にスキ」な議論に納得して通り過ぎてしまう.でも,それじゃ何も生まれない.発言者の依拠する理論は何か,そしてそれはどの程度ロバストなのかを理解するためには,一通り経済学がやっていることを知っておくのが近道です.基本的な経済学の理解があるとついつい「教科書読めや!」と怒鳴りたくなる話にぶつかることがあります.んで,今回は「教科書読めや!」の代わりに「1日あっしの話を聞いてください」というわけ.
 マクロインパールに引き続き,今回も時論・持論よりもごくごく教科書的な知識の解説に重点を置く予定です.ただ,基本的なミクロを理解すると構造改革論の目指していたものは容易に理解できますし,マクロ経済学の話が頭に入れば景気対策の意味・意義・限界についても結構なところまで理解が出来るようになるんじゃないかと思う.前回はマクロの最新理論まで進むためにバサバサ切ったIS-LMやマンデル・フレミングにもしっかり時間を割く予定なので,いきなり現代マクロはちょっと……という人にもお勧めです.
 参加費の高さに当初びびったんですが,1コマ当たり予備校の夏期講習とだいたい同じ値段*1だそうなので,みなさん18歳に戻ったつもり(?)で勉強しに来ませんか?

*1:今見たらKは90分×5で15000円とのこと.もっとも1・2片方の参加だとやや割高にはなっちゃいます.