恵投3点

先週から今週にかけては,先生&大先輩に当たるお三方から新著をこ恵投いただきました……

大瀧先生の著作は90年代半ばからの研究の集大成ですので所収の論文の一部はWPなどの形で読んだことがあるのですが,完全にオーソドックスな手法によって独自色のあるモデルが紡ぎ出されているという点で,非常に美しいモデルです.オリジナルの理論への言及は真剣に読んでからにしますが,第一章はいわゆるNew Keynesianのお勉強に最適なのでみなさんにお勧め.

稲葉先生の本も"重い"……新書とは思えない密な本です.現代的な近経(この表現ばかみたいだから早く消えてほすぃ^^)をふまえて思想を語る人は日本に非常に少ないと思います.必須の仮定と説明の方便としての仮定の区別さえもついていない人が多すぎる(これは自分でモデルを解いたことがないとわからない).その意味で,稲葉先生は貴重な人材です.

現代思想・経済思想に関する議論は僕は素人なのでたいした書評はできないので少々専門に引きつけて考えると,自分なりに面白いのがロックの留保条件とマルクス的な産業予備軍の話.交換における「第三者の不要性」の条件として「ロック的な但し書き(p103)」が必要としていますが,その成立条件は成長余力ではない.むしろ需給均衡ではないでしょうか.そうすると,産業予備軍(非自発的失業)がある状況は「ロック的な但し書き」が成立しない世界であり,さらにそれを生み出すのは効率賃金仮説ではないかと感じました.

それはさておき,すごい題名つけたなぁと思ったら……あとがきでちょっといいわけ(?)つき.

三冊目の田中先生の本はやっと軽く読めそうな本(←褒め言葉です).経済とかけはなれた主題を用いて経済学を語るという試みは非常に重要.なんか他の学問領域と違って経済学(近経)って専門家以外のファン(?)が非常に少ない気がする.ただ,本書の表向きの中心である韓流の話が僕にはわからない(ドラマとかを見る習慣がないものでm(__)m)のでちと残念.