『大君の通貨』

二冊目は佐藤雅美先生の『大君の通貨』です.この本自体はずいぶん前に読んだんですが,Keiの連載が始まったころ,文庫版を書店で見かけたので再読したら……Keiの連載方針を大きく変化させるきっかけになった本です.幕末開港期の金流出について,日本の幣制の特殊性(一種の不換紙幣制度の存在)とそれが特殊なことであるという認識の欠如が招いた被害について書かれた壮大な歴史経済小説です.


ちなみに,僕は佐藤先生の本の中では『恵比寿屋喜兵衛手控え』『縮尻鏡三郎』が一番好きかな.いかにも「歴史経済小説」って作りの作品よりも「居眠り紋蔵」「半次捕物帖」シリーズなどのなかにさりげなく出てくる経済ネタの方が楽しいです.

佐藤雅美ファンであることをことある毎に宣伝していたおかげで対談もさせてもらいました.対談の様子はいずれ.