パオロ氏へのお返事

さて,パオロ・マッツァリーノ氏からお返事が来たのでレスします.

分割したら意味がないとのことですが,分割しないとせっかくのパオロさんのアイデアを実行に移すときにどこが難しいポイントとなるか(それともそんな難点はないのか)を理解することが出来ないでしょ?これは,苺大福を分割して美味しいあんこ・美味しい苺を考えるようなもの(なのかな?)かもしれませんね.

で,分割したら,
・国営事業
所得再分配
・財政錯覚
の何れかを中心として含むアイデアになっている.苺大福が大福のバリエーションであるように,パオロ氏のアイデアは上の3つのどれかのバリエーションなんです.分解したら意味がないということは財政錯覚に近い感じかな.


で次にやっぱりインセンティブの話になるんだけど,

私のアイデアは、年金と勲章をセットにし、年金放棄という金持ち老人にとっての経済的損失を、金銭で評価できない愛国的名誉に還元してしまうスパイシーな皮肉さ加減に目新しさがあるわけで、これまた分割してべつの概念に落としてしまうこと自体、適切ではありません。

おそらくパオロ氏のポイントは「金銭で評価できない愛国的名誉」というところ.金銭評価できないってなに?多分「お金をいくら積んでも買うことが出来ない」という意味だと思うけど,それは「金銭で評価できない」という意味じゃないんだよ.例えば「100億円もらうのと勲章もらうのどっちがいい?」っていう仮想的な質問に答えられない人なんていないんじゃないでしょうか?

「年金額vs勲章への主観的評価」の大小関係に応じてパオロ提案のベースが国営勲章事業なのか再分配なのか決まる.パオロ氏自身は「資産家の年寄りには、有無をいわさず年金をやらない」といっているから,おそらくは


「何千万出して勲章を買う奴は居ないだろうが……ただ年金受給権取りあげて後はシラネーヨというのも酷すぎるから,なんかオマケとして勲章もつけよう」


というのが提案の趣旨なんでないでしょうか?なら僕は賛成だw

社会科学には唯一絶対の正解というものが存在しないという私の指摘(というか、これは私の発案ではなく、社会科学全体での合意事項となっていると思ってたのですが)に対する飯田さんの反論も、体を成していません。

反論というか,「……は存在しない」形式の命題の否定は例を一つあげればよいだけなのでそうしただけです(要するに揚げ足とり).で,あらためて,社会科学には唯一の正解はないっていうのはどうなんざんしょ?単に問題には「答えが複数になるもの」と「答えが一つに定まるもの」があって,せいぜい傾向的に社会科学は複合的な問題や価値判断を取り扱うことが多いから前者が多いってだけなんじゃないかな.ある程度の前提をおけば唯一の答えが出ること多いしね.


こんだけ四の五のいっといて『不埒な研究』まだ読んでませんorz←明日買いますw+『反社会学講座』はちゃんと読みました.