ん〜やっぱりわかってないなぁ

パオロ・マッツアリーノ氏がサイト内の別箇所で私の発言について言及しているとのことなので追加コメント(ちなみに僕はamazonレビューを書いたことはないです<ご想像のように多分小田中さんのblogへのコメントの引用).初めは岩田先生に関する部分ですが,

地価が高いことを問題として、税制と土地利用の面から解決案を提示していた

というのは相対価格問題です.つまりはフロー価格と比較してストック価格が高いのは制度上の制約によるというもの.

資産デフレはいけない――つまり、地価が安いことが問題だ

これは絶対価格(価格水準)に関する者です.経済学者はこの二つの問題はたいてい別だと考えます.相対価格問題は外在的な制約がない場合に成立する相対価格に近くなるよう規制の緩和が必要.一方,絶対価格の問題はマネーの問題です.だからだれも制度的制約を増やして地価を上げろとか言わないでしょう.

もう日本の地価は十分に下がったと見ているのかもしれませんが、私は現在の地価もまだまだ適正水準にはほど遠いと考えています。これは見方や立場の違い

という生活実感論法(?)はちと問題.絶対価格ではなく,日本の地価の相対価格が高いか低いかが問題で,その是正は通常インフレ状態の方がスムーズな調整が予想されます.で,とってもまずいのは

リフレになれば賃金も上がるとリフレ派は主張しますが

という部分.引用もとを教えていただければ,その批判をしたいと思いますが,多分「リフレーションプロセスの中で総所得が上がる」というのを取り違えられているのではないかと思います.インフレは現在雇われている人の実質賃金を引き下げます.90年代停滞期に,この不況の中で,日本の常雇者の実質賃金は1割ちかく上がっている.ようやく下がりはじめるのは90年代末.実質賃金の低下によって非自発的失業が減少し,雇用者が増えるor資本所得が増えることが重要なのです.