若者を見下す大人たち
ある本*1によると"私たちは「自分の知らないことを知る」本を探しながら「自分の知っていることが書いてある」本を購入している"そうです.僕もその例外ではありません…….何が書いてあるか全くわかりきっているのに,今更『他人を見下す若者たち』(速水敏彦,講談社現代新書)を買ってしまいました.予想通りでした…….
- 作者: 速水敏彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02/17
- メディア: 新書
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『他人を見下す』という本を知ったのが『ダメな議論』の執筆が結構進んでからだったこともありスルーしていましたが*2,先週集めたレポートで「ダメな議論の典型本です」と指摘してくれた学生が何人かいたので,話のタネに読んでみました.
本当に正気で書いているんだろうか……むしろ「若者を見下す大人たち」論への批判として書いた秀逸なパロディーなのでは??と思わせるほどすばらしい作品です.レポートの指摘する通り「ダメな議論」の教科書のような本すぎるので,「どのようなラポールに基づいて需要されているのか」「どこが5つのチェックリストに当たるのか」については本blogの読者諸賢におまかせすることにします.とりあえず「はじめに」を読んでチェックリストの当てはまりの良さに感心し,グラフ部分を見て統計の学習の重要性を痛感してください.
筆者は“本書が「仮想的有能感」の存在に気づく機会になれば幸いです”とかいているけど,まさに仮想的有能感に支配された人の恐ろしさを見せつけてくれる本です.その意味では大いに成功していると言って良いかもしれません.
なお,少年犯罪データベースあたりを見てから立ち読みするともっと面白いでしょう.