物価指数は下がってるけど実はインフレだ……ってw


ARNさんとこ経由消費者物価指数という幻に惑わされてはいけないという戯言.


 まず,インフレという言葉の定義が「物価指数の上昇」なんだから何をかいわんやなんですが,どうも物価指数そのものがおかしいという話をしたいみたいで…….

 で庶民感覚を測るのに日銀のアンケートを使っているんですが,これもダメ.もともとアンケート調査では大多数が「物価は上がる」って答えるものです.例えば内閣府の消費動向調査では2000年ですら「物価上昇が加速する」って答えた人が30%もいる(ちなみに減速or低下は5%くらい).第一,日銀のアンケートによると6月に比べて「物価は上がる」って答えた比率は微減してるんだけど…….

 生活雑貨やガソリンが値上がりしているから物価は実は上がっているんだ……ってな話なんですが.この人達は物価ってなんだと思っているんでしょう.もともと物価指数ってのは「基準時点と同じ満足度を達成するのにいくらかかるか」をもって測るわけです.で,一番単純なの方法が「基準時点と同じ物を買うのにいくらかかるか」というはかり方*1

 で,ラスで測った物価が下がってるわけです.ということは,マヨネーズだのタクシーだのが値上がりしたことで必要な「追加支出」より,家電が値下がりしたことによって「浮いた金」の方が多いわけ.全体として必要なゼニは減ってるわけですからこれをインフレと呼ぶのはへんてこな話です.

 参考としてあげられているFujiSankei Business iの記事「生活用品次々値上がり…物価指数はマイナス 庶民感覚と統計にズレ」も酷い.

たまに買うパソコンの値下がりの恩恵よりも、日常的に買う食品や生活用品の値上がりの影響の方が、多くの家計にとって重いだろう。

 あ〜〜もう!多くの家計にとって「日常的に買う食品や生活用品の値上がりの影響の方が重い」ならばCPIは上がるんですよぉ.記者の能力を疑うね.単に買い物の回数が多いから気になりやすいというだけの話なのに.
 低所得者に厳しいってのも少し割り引いて考えないと行けない.確かにウェイトは低いだろうけど,家電も買わない,サービスも購入しない低所得者ってもう物価云々じゃなくて,社会政策の問題なんでないのかい.

*1:ラスパイレス方式といいます.