もうダメポ

ニートに「発達障害」の疑い、支援に心理専門職も
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060824i101.htm
とうとう障害者になっちゃったみたいです.もう……どうでもよくなってきた.


■追記(どうでもよくなってねぇじゃんw)
 本田先生のblogでも同じ話題が取り上げられていたので,いくつかコメントを書いたところITOKさんより「見出しにつられすぎでは?」との指摘をいただきました.確かにそうだと反省する反面,このような誤解を生みやすい「(日本版)ニートの定義」に大きな問題がある……そしてやっぱり『「ニート」って言うな!』との見解を強めました.
 元々のニートの定義はほぼ若年無業者のはずなんですが,日本版ニートではそこから求職活動中(統計上の失業者)の人をのぞいたことでさらにまずい概念になってしまったというのが私の考えです.
 統計上の失業と経済理論における失業は違います.前者では具体的な求職行動をしているか否かがポイント.一方,後者はさらに非自発的な失業(自分の生産性よりも賃金が高いから雇われない)と自発的失業(現在オファーされる程度の賃金では働きたくない)に分けられます.統計上の失業には非自発失業の一部しか含まれません.すると無業者から統計上の失業をのぞくとニートは「非自発失業・自発失業」がまぜこぜになった概念になってしまう.
 非自発失業への対策と自発失業への対策は違います.非自発失業に対しては賃金の硬直性を緩和する政策を,自発失業は放置が基本だと思います*1
 さて件の発達障害だからニートになるという話ですが,もともとこの調査の詳細を知らないのでなんですが……疑問は3つ.
 ひとつは,「ニート(日本版)」「失業者」「就労者」間で発達障害+その疑いがある人の比率に差はあるか?という問題……どうも「場の空気が読めない」程度で発達障害の疑いみたいだし.もうひとつは,昔から結構な人数いたんじゃないの?というもの.さらに,ちょっくら調べて思ったんだけど,一番重要なのは……


発達障害って範囲広すぎない???


ってこと.http://www.as-japan.jp/j/about/syougai.htmlによると,どうも人口の12%は発達障害らしい.とすると,「疑いがある」までいれたらもっと「発達障害+その疑いがある」なんじゃないかしら.調査では23%が「発達障害+その疑いがある」らしいが……どうも大した数字じゃないような気も.もちろん,この調査によって就職支援の人に追加的な情報が得られて今後のカウンセリングがやりやすくなるという利点はある.しかし,その一方で「障害者だからニート」「ニートは障害者」ってな認識が深まるとますます失業対策がゆがんだものになりかねないなぁ.

*1:自発失業というと「働きたくない」「金はあるから働く必要がない」というイメージかもしれませんが,働く事への心理的コストがふつうの人より非常に大きくなっている人も概念上は自発失業です.したがって,そのような人への支援は再分配活動と言ってよいでしょう.